とあるコンビニの店員が
私の正体を見破った。
私が大岩秀樹だとか,
そんな表面的なことではない。
あれは,私が「ビビンバ」を買ったときのことだった。。。
「ビビンバ」と言えば,コチュジャンと呼ばれる
甘辛ミソみたいなのを別途,お好みで加え,
まぜまぜして食べるという,逸品料理。
まぜまぜ前提なので,
もちろんスプーンが基本フォーム。
しかし,しかしだ。
あのコンビニ店員は,
割り箸を入れたのだ。
袋を開けたら,
ビビンバと割り箸のセットがお目見えしたのだよ。
そこで,キミならこう思うはずだ。
「あの店員,間違ったな。スプーンでしょここは。」
しかし,違う。違うのだよ。
彼女は見抜いていたのだ。
私の父親は,何でも箸(はし)で食べる。
あの,飲み物として名高いカレーでさえ,
私の父親は箸で食べる。
その究極の極意は一子相伝(いっしそうでん)。
兄と私でとちらが伝承(でんしょう)するかの
覇権争い(はけんあらそい)に荒れ狂う日々だが,
私こそ,何でも箸で食べる極意を伝承すべき者であることを,
彼女は見抜いていたのだ!!!
ビビンバを箸で食べきった私こそ,
伝承者としてふさわしいことは,
もはや言うまでもない。
(兄も納得することであろう)
彼女にまた会ったら礼を言わねばなるまい。
そして,カレーを手にし,こう言うのだ。
「温めてもらえますか?あと,もちろん,割り箸で。」
きっと彼女は,私が伝承者となったことを悟り,
心から喜んでくれるに違いない。