あれは,私が上京する日の出来事だった。
独り暮らしを始める私に
両親が持たせてくれた
一通りの家財道具。
その中に,
両親の色々な想いとともに入っていた
直径22cmのフライパン。
現代のフライパンよりもだいぶ厚めで,
ズッシリ感が好きだったフライパン。
雨の日も,風の日も,雪の日も。
肉野菜炒めの日も,肉野菜炒めの日も,肉野菜炒めの日も。
泣いた日も,笑った日も,怒った日も。
肉野菜炒めの野菜は,
いつももやししか入っていなかったけど,
それでも文句1つ言わずに
炒めつづけてくれたフライパン。
うっかり落として,
少しだけゆがんでしまったけど,
パートナーとして,
いつもまっすぐに僕を支えてくれたよね。
いつも一緒だったフライパン。
そのフライパンではないんだけど,
2年くらい前に買ったフライパンが,
ついに使えなくなってしまった。
ありがとう,2年くらい前に買ったフライパン。
※親にもらったフライパンは,
たぶん実家にあります。